【ロンドン便り】想定内?想定外?住民に大不評の五輪期間中の現地交通事情 (2ページ目)

  • 藤井重隆●取材・文 text by Fujii Shigetaka
  • photo by Fujii Shigetaka

「五輪専用道路」はガラガラ。地元住民からは不満の声も「五輪専用道路」はガラガラ。地元住民からは不満の声も 開会式でIOCのロゲ会長は「準備は整った」と言っていたが、果たしていかがなものか。五輪組織委員(LOCOG)が開幕前から「自家用車は使わず、公共交通機関を使うように」と交通渋滞緩和を狙った呼びかけは、結果として想定外の悪循環を生み出している。本来通勤時間に混雑する地域の道路、観光名所付近などで車の数が局地的に減少したため、中心部のお店やレストランへの客足が減り、売り上げが通常の3分の1まで減少するなど、大損害を被っているというのだ。

 また、大会関係者のみに使用が許される「五輪専用道路」も非難の的となっている。「開幕前の選手団の空港から宿泊施設への移動」、「宿泊施設から五輪会場への移動」という名目で作られた同専用道路だが、毎日ガラガラの状況が続いている。

 通勤時間帯には郊外からロンドン中心部へかけて毎日のように渋滞しており、ただでさえ車線が少なく狭い道路が、「五輪専用道路」でさらに制限されている状況に、市民も頭を抱える。渋滞に苛立ったドライバーが空いている五輪専用道路を使用して130ポンド(約16000円)の罰金処分を受けるというニュースもあったほど。

 街の中心部では2車線のうちの一方が五輪専用、もう一方がバス専用となっていて、どちらを通っても罰金となる場所もあるという。この影響でタクシー会社の売り上げも50%減少。抗議デモなどをな行い、政府機関へのクレームもあったが、変化はない。

 ロンドン交通局の関係者は、「大会2週目からは、さらなる混雑を予想している」と話しており、本当の悪夢はこれからなのかもしれない。

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