【体操】内村航平に次ぐ代表メンバーが決定!「団体で金メダルを獲りたい」 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 岸本勉●写真 Kishimoto Tsutomu

 その内村に次ぐ代表争いは熾烈だった。ロンドンは1国の出場枠が北京五輪の6人から5人に減った。選考基準は4月の日本選手権2日間の試合と今回のNHK杯2日間を合わせた合計4回の試技結果。体操協会が特化種目に定めている鉄棒とゆかのポイントが最上位の1名ずつが選ばれ、そのふたりを除く個人総合最上位者。さらにその3名以外で、各種目2位までに入り、獲得した総ポイントが最上位の者が選ばれる。

 昨年の世界選手権の個人総合で3位になった山室光史は、日本選手権個人総合は7位ながら、つり輪でトップを2回。NHK杯初日にもつり輪で1位になってポイント争いでは優位に立ちながらも「もし田中和仁さんが個人総合のトップから落ちたら、ポイントでは微妙になる。気は抜けないし、1点でも多く稼ぎたいですよ」と、シビアな戦いに表情を緩めなかった。

 そして結果は最後の鉄棒で踏ん張った田中和仁が個人総合トップで代表になり、山室はつり輪と跳馬でポイントを積み重ねて代表入り。ゆかは4回中2回1位になった大学1年の加藤凌平が代表を獲得。鉄棒は田中佑典と植松が2回ずつトップで並び、他種目のポイント比較となって田中が逃げ切った。

 内村は大会を終え、「12月に内定してから5カ月間は代表がひとりで寂しい思いをしていたが、残り4人が決まって心も解き放たれた心境です。代表に選ばれた選手は運を持っている人間だし、金メダルを狙えるメンバーだと思うから。個人で獲るメダルより5人で獲るメダルの方がきっと嬉しいと思うので、団体で金メダルを獲りたい」と話す。

 彼が今個人総合のメダル以上に欲しいのは、04年アテネ五輪以降は銀に止まっている団体の金メダルだ。その上で個人総合や種目別での金メダルを積み重ねること。それこそが内村がもくろむ、日本黄金時代へのシナリオだ。

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