【カーリング】市川美余、本橋麻里が合体!? ソチ五輪へ真の「代表」結成も? (2ページ目)

  • 竹田聡一郎●文 text&photo by Takeda Soichiro

 チームメイトの技術や性格をお互いに深く知ったうえでショットを選択するカーリングにおいて、何より重要なのは、コミュニケーションである。それを築くためには、アイス内外で苦楽をともにするなど、チームとして過ごす長い時間が必要になる。

 中部電力の和田博明監督が今大会の勝因に挙げたのも、その点だった。
「選手たちはシーズン前、ニュージーランドやカナダの長期合宿で同じ釜のメシを食べてきた。そういったことによって、目に見えないコミュニケーションの部分が飛躍的に上昇し、チームとしての強さにつながったと思います」

 それだけに、選抜メンバーによる代表チームの結成には否定的な意見が多い。五輪経験のある選手は「今から急にやっても......」と不安を漏らし、ある協会関係者も「4番バッターを並べて勝てるスポーツではない」と言い切る。

 とはいえ、次回(2012年11月)のPACCで2位内に入って、世界選手権の出場切符を得られなければ、ソチ五輪の道は完全に絶たれる。前回のPACCで、中部電力が中国や韓国相手に成す術なく完敗したのは事実である。現状のままでは、さらに成長している両国に太刀打ちできるかは疑問だ。

 PACCで目下6連勝中の中国は、2000年代に入ってから国家レベルでカーリングプロジェクトを始動。今や世界で3指に数えられるスキップの王氷玉選手をはじめ、国家お抱えのメンバーを集めて継続的に強化し、2010年のバンクーバー五輪では初出場で銅メダルを獲得した。

 韓国もまた、2009年の世界選手権でバンクーバー五輪の出場権を逃すとすぐにメンバーを入れ替えて、ほぼ協会直属と言えるチームを再結成。2014年ソチ五輪に初出場を果たすべく、1カ月を超える大型遠征を1シーズンに何度も実施するなどして成果を出している。

 両国にならう必要はないものの、日本にとってのアドバンテージはタレントが豊富なこと。ソチ五輪出場のために、市川や本橋ら各チームから優秀な人材をピックアップして強化を図り、現状を打破したいという考えが生まれるのも不思議はない。

 いずれにしても、現行制度のまま中部電力を日本代表とするのか、選抜メンバーで新たな日本代表を結成するのか、協会が適切かつ迅速な判断を下すべきだ。五輪プレシーズンとなる来季は、日本のカーリング界にとって大きな分岐点になる。

2 / 2

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る