【月刊・白鵬】巨人のキャンプに参加してチャレンジしたいこと (2ページ目)

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

 さて、他のスポーツの世界に目を向けると、2月1日からプロ野球のキャンプが始まりました。連日いろんなニュースがメディアで伝えられていますが、私もその情報を気にしているひとりです。

 というのも、私は大の野球ファン。宮城野部屋でもソフトボールのチームを作って、ときどき試合もしています。

 母国のモンゴルでは、野球があまり普及していないこともあって、テレビで見ることはほとんどなく、少年時代にプレイすることもありませんでした。だから野球のルールは、子供の頃にゲーム機で遊びながら覚えたんですよ(笑)。

 日本に来てからは、同じ部屋の兄弟子が野球好きだったこともあって、よくテレビ観戦をしていました。ひいきのチームは読売ジャイアンツ。その昔、「巨人、大鵬、卵焼き」という言葉があったと聞いていますが、野球界の王道を行く巨人には、他のチームにない風格のようなものを感じています。

 2008年には、東京ドームで始球式を務めさせていただきました。あれは、とても思い出深い出来事でした。

 マウンドに上がって振りかぶり、キャッチャー阿部慎之助選手が構えたミットを目掛けて放ったボールは、112kgのスピードでど真ん中に決まりました! 5万人の観客の中で投げるのは、本当に気持ちが良かったです。投げ終わったあと、原辰徳監督から「パーフェクト!」と言ってもらったときには、本気で「野球選手に転向しようかな......」なんて思ったりして、ちょっと調子に乗ってしまいましたね(笑)。

 一昨年の暮れには、巨人の長野久義選手と知り合う機会がありました。同学年ということもあって、その際はとても話が盛り上がりました。そこで「今度、宮城野部屋で一緒に稽古しましょう」という約束をしたのです。

 それから1年が経過し、昨年末にその約束が実現しました。

 当日は、長野選手と一緒に藤村大介選手も参加。四股、テッポウから始まって、ひと通りの稽古をこなしていきました。その姿を見て、さすが日頃から体を鍛えているプロだな、と感心しました。野球選手と力士では使う筋肉が違うので、股関節が少し硬くて股割りなどには苦労していましたが、終始、長野選手からは「一流」のオーラが出ていました。

 この合同稽古がきっかけとなって、今度は私が巨人の宮崎キャンプに参加することになりました。そのときは、打撃練習をさせてもらえたらいいな、と思っています。もし柵越えなどができたら、気持ちいいだろうなぁ......。

 私が野球に魅力を感じるのは、みんなでやるスポーツだからです。チームで喜びを分かち合えるというのは、何ものにも代え難いものです。相撲は土俵に上がればひとりで戦わなければなりませんから、団体競技のそういう部分にはどうしても憧れてしまいます。

 実は、野球好きが高じて、私はモンゴル野球協会の会長も務めているんですよ。最近は、モンゴルの首都ウランバートルにも野球場が増えて、多くの人たちが実際にプレイしています。近い将来、「モンゴル人のプロ野球選手誕生!」なんてことが起こったら、こんな幸せなことはありません。

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