【月刊・白鵬】大きな刺激を受けた、石川遼選手との出会い (3ページ目)

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

 話を土俵上に戻しましょう。初場所の目玉はなんと言っても、次なる横綱候補として多くのファンが期待している、ふたりの日本人大関の戦いぶり。特に新大関の稀勢の里は、年末の横綱審議委員会稽古総見のときに張り切って稽古していましたし、本場所に向けての稽古でも「大関」の自覚を持って番数を重ねていたようです。どんな活躍を見せてくれるのか、すごく楽しみです。

 ただ、これまでも何度か言ってきましたが、稀勢の里に足りないのは、強い気持ちがずっと持続しないところ。横綱、大関というのは、下位力士の盾にならなければいけない地位ですから、平幕相手にコロッと負けることは許されません。はたして、稀勢の里はその課題を克服できているのか、しっかり見守っていきたいと思います。

 そういう意味では、次の横綱候補の一番手は把瑠都でしょう。大関5人の中では、彼が最も安定感があります。それに続くのは、得意の「型」を持っている琴奨菊。がぶり寄り以外の部分では、それほど器用なタイプではありませんが、「型」があるのは強みです。もちろん、稀勢の里も候補のひとりです。そのためにも、大いに奮闘してもらいたい。

 私も「ひとり横綱」という期間がかなり長くなってきました。今年こそは誰かが横綱に昇進して、ぜひとも東西で横綱を張りたいと思っています。

 個人的な目標としては、朝青龍関の「Ⅴ25」(現在、優勝21回)を目指したいと思います。昨年は、勝ちにこだわり過ぎたり、数字を意識したりして、苦い思いを経験してきましたが、それを糧にして「新しい白鵬」というものを追求していきたいと思っています。

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