【月刊・白鵬】大きな刺激を受けた、石川遼選手との出会い (2ページ目)

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

 また、他のスポーツ界の選手たちとの交流も多く、テレビ番組の企画ではプロゴルファーの石川遼選手と一緒にラウンドする機会がありました。

 私は、時間があれば打ちっぱなしに行ったり、休みがあればコースに出たり、以前からゴルフが好きでした。というのも、相撲は直径4m55cmの円の中での勝負ですが、ゴルフ場は広大な土地に緑が広がっていて、どこか母国・モンゴルの草原に似た雰囲気があります。だから私にとってのゴルフは、スコアうんぬんよりも、気分転換にもってこいのスポーツなのです。

 それと、ゴルフというのは人の性格が表面に出やすいスポーツ。18ホール回れば、同伴者の考えていることなどもなんとなくわかってきて、意外な一面が見えたりします。それもまた、ゴルフの面白さのひとつで、好きなところです。

 それだけに、石川選手とのラウンドは非常に楽しみでした。彼がどんなゴルフをするのか、とても興味がありました。

 当日、石川選手は疲れていたのか、調子は今ひとつでした。逆に、素人の私のほうがドライバーで300ヤード飛ばしたり、パットも運良く決まったりと、最初は私のいいところばかりが目立ってしまったのです。

 ところが、これには石川選手もさすがに「ヤバイ」と思ったのでしょう。途中でスイッチが入ると、一気に集中力を高めて「これぞ、プロ!」というプレイを連発し始めました。そのプロ根性には思わず脱帽でした。

 相撲とゴルフではプレイ時間の長さこそ違いますが、ここ一番の集中力が大切、という部分は似ています。石川選手とのラウンドで、改めてその重要性を痛感させられ、大いに刺激を受けました。

 加えて、若い頃からトッププレイヤーとして活躍している石川選手。さまざまな経験をし、修羅場もくぐってきているだけあって、メンタル面の強さは相当なものですね。見習うべき姿勢が随所にあり、多くのことを教えられたような気がします。こうして彼から得たものを、相撲に生かしていきたいですね。

 石川選手は忙しく、なかなか時間は取れないでしょうが、いつかお酒を酌(く)み交わしていろんな話をしたいな、思いました。

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