坂本花織「緊張で頭とか心が大変じゃないかと」。世界選手権金メダルの裏側を明かす

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Getty Images

五輪メダル獲得後「不安だった」

 3月25日の世界フィギュアスケート選手権、女子フリー。最終滑走者として演技を終えた坂本花織は右手を強く振り下ろすと、何度も氷をたたいて喜びを爆発させた。

 プレッシャーのかかるなか、演技前半の3回転ルッツはノット・クリア・エッジ(明確でない踏み切り)と判定されたものの、GOE(出来ばえ点)は1・10点の加点。ジャンプは余裕を持ってきれいに決め、スピンやステップはすべてレベル4にするノーミスの演技。初優勝を確信した、うれしさの表現だった。

世界選手権で金メダルを獲得した坂本花織世界選手権で金メダルを獲得した坂本花織この記事に関連する写真を見る 北京五輪銅メダル獲得後について坂本はこう語った。

「五輪のメダルは競技人生においての一番の目標だったので、その夢がかなって燃え尽きてしまい、『これからどうしていこうか』と初めてというくらいに悩みました。メダルもうれしいですが、それを重荷に感じてしまうこともあって調子が落ち込んで不安が大きかったです」

 さらに、ロシア勢の欠場が決まり、世界選手権の金メダル候補と言われるようになった。

「欠場を知った時は調子もあまり上がっていなくて、不安要素のあるような練習しかできなかったので、頑張りたいという気持ちもありながら、調子を気にしすぎる面もあって、世界選手権はどうなるんだろうと、不安を感じていました。

 でも日に日に調子が上がり出してからは、結果をいっさい考えないことにして、ショート・プログラム(SP)もフリーも今季最後の演技になるので、思いきり満足できる演技をしようと......。これまでも結果を考えずに、今やるべきことをやってきたので、そのとおりにやろうと思うようになりました」

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