鍵山優真「あんなに点数が出るとは思わなかった」。自己最高得点でフィギュア団体戦、メダル獲得へ前進 (2ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登直/JMPA●撮影 photo by Noto Sunao/JMPA

【鍵山優真「自信満々」の演技】

 鍵山は北京入りしてからの練習も好調。メダルを確実にするために守りに入るのではなく、「五輪では成長した自分を見せたいし、自分でも成長を感じたいので4回転ループを入れ、成功しても失敗しても後悔しないようにしたいです」と話していた。その言葉どおり、本番では4回転ループを入れた構成で臨んだ。

 父の正和コーチに演技前に言われたのは、「悔いのないように全力でやってこい」という言葉。「4回転ループの練習での確率はサルコウやトーループのようにはよくないが、ある程度の形はできています。ループを入れると他の要素ではミスをしないことが大事になりますが、自信があったので不安なく入れられたと思います」と、鍵山が話す挑戦だった。

 個人戦で宇野昌磨とともにメダル争いをするとみられているヴィンセント・ジョウ(アメリカ)らライバルらも団体戦男子フリーに名を連ねたが、鍵山は動じなかった。成果はすばらしかった。「何か変なプレッシャーや緊張は全然なく、むしろとても楽しく最後までできました」(鍵山)と、自らの挑戦だけに集中していた。

 丁寧な滑り出しから最初の4回転サルコウを3.46点の高い加点で決めると、次の4回転ループは尻が落ちて耐える着氷になったが引きずることもなく、4回転トーループを確実に決めると、次はトリプルアクセル+3回転トーループ。そして、演技後半に入れていた4回転トーループは、1オイラー+3回転サルコウをつけた3連続ジャンプとし、そのあとは自信を持つ3回転ルッツ+3回転ループ。五輪へ向けて難度を上げた構成も軽々とこなす。ステップこそレベル3だったが、スピンはすべてレベル4にし、自己最高の208.94点を獲得した。

「あんなに点数が出るとは思わなかったけど、200点は超えたいという気持ちはあったので、まずはよかったです。あとは個人戦ならひとりでワーッとやることしかできないが、今回はチームのみんなもいて一緒に喜んでくれたのでさらにうれしかったし、これが団体戦なんだなと、雰囲気も楽しめました」

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