村上佳菜子が展望する北京五輪の羽生結弦、宇野昌磨、鍵山優真。「日本の表彰台独占もあり得る」 (2ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【大きく成長した宇野昌磨】

 平昌五輪銀メダルの宇野昌磨選手の今季は、これまでとは違い、「トップを争う選手になる」と戦う姿勢を見せています。平昌大会後の翌々(2019-2020)シーズンにコーチを変えて大きく調子を崩し、2019年GPフランス杯のキス&クライで泣き崩れた時は相当つらい思いをしたと感じました。しかしステファン(・ランビエール)コーチと出会った今はしっかり壁を乗り越え、やっとこの五輪シーズンに合わせてきたなと言うか、合ってきたなと思います。

 最初はステファンコーチの指導でいろんな勝手が違ってなかなか自分の身につかなかったり、よい方向にきていましたがジャンプが安定しなかったりという状況でした。しかし、昨年(2021年)くらいからだいぶジャンプがまとまってきたというところが見えていて、ポイントが定まってきました。滑りや動きもすごく軽やかになったし、ステファンコーチのイズムを習得してきて、相当に難しいプログラムもこなせるぐらいに成長してきたと思います。

 昨年12月の全日本選手権は大会直前のケガでちょっと右足の痛みがあったのにあそこまでまとめられたというのは、やっぱりすばらしいことだと思います。ですので、北京五輪の本番までに右足をしっかり治せば、いい演技が期待できるのではないかなと私は思っています。

【鍵山優真の「見ていたい」ジャンプ】

 3番手の鍵山優真選手は、私が一度中身を代わってもらって滑ってみたいなと思うぐらい、スケートが伸びる選手だと思っています。「プッシュしてます」というふうに見えないのに、どんどんスケーティングスピードが伸びていくのは、膝や足首の使い方が本当にしっかり連動しているんだなと思っています。

 この話を(山田)満知子先生にすると、「お父さん(鍵山正和さん)に滑り方がそっくり」だって言うんです。ジュニア時代からのライバルである佐藤(駿)選手とはお互いをリスペクトしながらいいライバル関係で歩んできました。そして今、鍵山選手には、宇野選手が目の前にいて、その先には羽生選手がいて、そのふたりを追う立場にいるだけでもさらに伸びるはずです。

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