松生理乃は持ち味のジャンプで羽ばたく。全日本での悔しいミスも「収穫あった」と前を向き、四大陸選手権にのぞむ

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 すべての連続ジャンプを基礎点が1.1倍になる演技後半に入れられるのは、松生が力をあまり使わないきれいなジャンプをするからこそ。本人も自分の武器だと自覚している。だが、今季初挑戦したシニアのグランプリ(GP)シリーズでは、右足首をねんざしたこともあってNHK杯とロステレコム杯はともに連続ジャンプをSPでは冒頭に、フリーでは2本にするレベルを落とした構成だった。両大会で180点台中盤の得点でそれぞれ6位、8位と悔しい思いをしていた。

 だからこそ全日本には「リスクはあると思ったが、この構成で勝負したいと決めた」と、強い気持ちを持って臨んだ。演技後に松生は、「後半のコンビネーションを全部きれいに立つことができたので、そこは体力的にも気持ち的にも成長できた部分かなと思う。収穫もあったフリーだったし、(緊張感のある)こういう雰囲気のなかで滑らせてもらったのもすごくいい経験になりました」と話す。

 今季の序盤はフリー冒頭にトリプルアクセルを入れる構成にしていた。7月のみなとアクルス杯では転倒し、8月のげんさんサマーカップと10月のジャパンオープンはともにダウングレードとなるも果敢に挑んだ。ロステレコム杯では「トリプルアクセルや4回転がないと通用しない時代になっている」と、今後の挑戦への意識を口にした。そして、全日本では「トリプルアクセルを入れたい気持ちはあったが、コンビネーションを後半に持ってくるのがぎりぎりだったのと、今回はミスのない完璧な演技をそろえたいと思ったから」と説明していた。

 全日本選手権の結果で1月18日からエストニアで開催される四大陸選手権代表に、三原舞依や宮原知子とともに選ばれた松生。シニア初の大舞台の経験を契機にし、さらに羽ばたいていこうとしている。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る