鍵山優真「今季は全部うまくいかないと思った」からの北京五輪出場へ。浮上のきっかけはコーチである父からの一言だった (4ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

「全日本ではあきらめない姿をみんなに見せるのが目標だったので、それがかなってよかったなと思いながらガッツポーズをしました」

 そう笑顔で話した鍵山。周囲や自分自身への期待から大きくなりすぎていたプレッシャーを、跳ね返すことができた充足感を得ていた。

【追いかける羽生、宇野の背中】

 今回の全日本フリーでは、公式練習や6分間練習を羽生や宇野と一緒にしたこともいい経験になったという。鍵山は「あと何回一緒に試合ができるかわからないなかで、本当に貴重な1回1回を過ごせた。羽生選手の4回転アクセルに挑戦する姿や気迫を間近で感じられたし、宇野選手の4回転5本構成に挑戦している姿を目の前で見ることができていろんな勉強になりました。自分のあのふたりのようにいろんなことに挑戦していきたいなと思いました」と話す。

 五輪代表がかかった全日本選手権で、競技者としての殻をひとつ破った鍵山は北京五輪へ向け、「(4回転)ループはまだ一日に1回降りられるか降りられないかくらいだが、(構成に)入れるだけでは不十分だから、今のサルコウやトーループくらいの確率になったら入れてもいいかなと思います」と言う。

 その4回転4本の構成を北京五輪でできるかできないかにかかわらず、羽生や宇野と一緒に戦う機会を得た。彼らとのメダル争いに加わることができる初めての五輪は鍵山にとって、翌季からの飛躍のための大きな契機にもなるはずだ。

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