宇野昌磨が全日本フィギュアSPで見せた「逃げない」生き方。「どの試合も成長できるように」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【勝負強さを発揮、高難度ジャンプを成功】

 12月23日、さいたま。全日本選手権のショートプログラム(SP)、6分間練習のリンクに入った宇野は、涼やかな顔をしていた。5日前にジャンプの着氷で右足首をひねっただけに、万全のはずはない。事実、SP前日の練習では曲かけのジャンプで崩れ落ち、周りをひやひやさせるほどだった。23日の午前中練習でも、ジャンプは転倒が相次いでいた。

 しかし本番を前に、どこかで吹っきれたのだろう。冒頭の4回転フリップは足をひねったジャンプだったにもかかわらず、彼はひるまずに挑んでいる。高難度だけに、GOE(出来ばえ)も含めて13.99と高得点をたたき出した。

「6分間では(4回転フリップが)3本目のジャンプで、いつもどおりの自分のジャンプができたので、"たぶん跳べる"という気持ちになりました」

SPは101.88で2位。12月26日にフリーに臨むSPは101.88で2位。12月26日にフリーに臨むこの記事に関連する写真を見る 宇野が言うように、2回はジャンプが空中でほどけていたが、3回目はクリーンなジャンプだった。ただ瞠目(どうもく)すべきは、確率で言えば「3分の1」を信じられる点だろう。その勝負強さが、宇野の天分だ。

「痛いから(右足を)かばっているわけではなくて。痛いイメージが残ってしまっていて、(着氷で)痛いのを想定してしまっているというか。気持ちの問題が大きかった」

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