羽生結弦の新SP、「音楽の解釈」のジャッジは10点満点。「自分の代表プログラムとなるものだという思いはある」 (2ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

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【4回転アクセルだけでない進化】

 大会前の練習では、一度もノーミスができていなかったという24日のSP。冒頭の4回転サルコウは同じさいたまスーパーアリーナで行なわれた19年世界選手権でも失敗している。当時と同じ場所で跳ぶこともあり、緊張感は大きかった。だが、しっかりコントロールし、GOE(出来ばえ点)加点4.57点のジャンプにした。

 その成功で気持ちが落ち着いた。次の連続ジャンプは最初の4回転トーループが少し低くなり、本人も「大きく耐えてしまった」とのジャンプ。しかし、昨季の世界選手権前とは違い、4回転アクセル以外のジャンプもしっかり練習できていたこと、アクセルが完成に近づいたことで他のジャンプの精度も上がっていたといい、4回転トーループも2.58点の加点のジャンプだった。

「振り付けは最初、ジェフリー・バトルさんにお願いしましたが、自分のなかでもっとやりたいという思いが出てきて、ジェフやブライアン(・オーサーコーチ)、トレーシー(・ウィルソンコーチ)などにいろいろ相談して......。最後には(振付師の)シェイ=リーン(・ボーン)にも加わっていただき、振り付けはコラボレーションという形にしました」

 清塚氏に曲作りを依頼した時に伝えたのは、「パッションあふれるもの。そのなかに切なさや繊細さなどがあふれるものにしてほしい」ということで、全体のイメージは考えていなかった。

「最終的にシェイ=リーンに加わっていただいてから思い描いたのは、自分の苦しかった暗闇のような時期の思い出や、皆さんの気持ち、歩んできた道のりが蛍の光のように広がり、最初のスピンのあとからはそれらをすべてエネルギーにして、自分でもよくわからない、意識が飛んでいるような感覚のなかで何かをつかみ取るような......。シェイ=リーンがそういう物語をつけてくれたので、本当に新しいプログラムとして自分自身も、エキシビションのように感情をこめて滑れていると思います」

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