全日本フィギュア女子シングルで熾烈な3番手争い。北京五輪への切符を手に入れるのは誰か (3ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 河辺愛菜は今季、ジャパンオープンでトリプルアクセルを久しぶりに決め、そのあとのジャンプもノーミスでまとめる滑りをした。NHK杯では205.44点で2位と自信をつけている。SPでトリプルアクセルを決めたノーミスの滑りで73.88点を獲得して坂本に次ぐ2位発進。フリーでは冒頭のトリプルアクセルが2回転になって転倒するミスは出たが、今季はトリプルアクセルに自信を持ちつつあるだけにSPとフリーをそろえれば大きくジャンプアップできそうだ。

【17歳の若き才能にも注目】

 また、17歳の松生理乃にも注目だ。昨季の全日本はジュニアながら、SPとフリーともに基礎点が1.1倍になる後半のジャンプをすべて連続ジャンプにして、204.74点で4位になった。今季はSP、フリーともトリプルアクセルを入れる構成に挑戦。初の海外遠征も経験したGPシリーズでは右足首のケガもあってレベルを落とした構成で臨み、NHK杯6位、ロシア杯8位と、思ったような結果を出せず悔しさを味わった。

 松生は「早くケガを治し、自分の武器である後半の連続ジャンプやトリプルアクセルに挑みたい」と高い意欲を持つ。故障が癒え、トリプルアクセルを成功させられるようになれば、大幅なステップアップも期待できる。

 世界を見れば、高難度ジャンプを駆使するロシア勢が席巻している状況で、唯一対抗できるのは日本勢というのが世界のフィギュアスケート関係者の見方だ。それを確固なものにするためには、第3グループも220点台に乗せるか、迫るような結果を出すことが必要となる。紀平や坂本に危機感を与えるくらいの存在が現れることも、日本の女子フィギュアスケートの層を厚くするために重要だ。全日本では、3位争いも220点に迫るレベルでの戦いになることを期待したい。

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