紀平梨花、起死回生の北京五輪代表入りへ。崩れた青写真をどう立て直すか (2ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • photo by KYODO

【満身創痍だった4月の国別対抗戦】

 4月の世界国別対抗戦では、大会直前に腰痛を発症させてジャンプもまともに跳べない状態になったが、試合には強行出場した。SPは腰痛を抱えながらトリプルアクセルに挑んで転倒。腰痛を悪化させてしまったというフリーでは得意のトリプルアクセルを跳ばず、ジャンプ構成も大幅に変更して対応したが、プログラム後半の連続ジャンプで転倒するなど、満身創痍のなかでの演技だった。

 五輪シーズンを控えたオフシーズンは、なかなか腰痛が治らないなかで練習に取り組んできたという。7月に行なわれたドリームオンアイス(DOI)では「まだ治っていないんですけど、国別対抗戦ですごく痛めたので、そこから1回休んでみたり、軽めの練習をしたりして、少しずつよくなってきていました。6月中はできるだけ痛い動きはしないようにして、この2カ月くらいはジャンプ練習もしていない状態。普通に練習すると痛みがまだ出てしまうので、ゆっくり治して行きたいなと思っています」と話していた。

 おそらく「右足関節骨軟骨損傷」というケガを負ったのはこのあとだろう。万全の状態でのシーズンインができなかった焦りもあったのかもしれないが、大技ジャンプの練習により負傷に至った可能性は高い。

 7月の時点では、五輪シーズンをどう戦っていくか、青写真を描いていたに違いない。DOIではこんなコメントも残していた。

「一番大事なシーズンになるので、健康第一で腰痛を治して、オリンピックシーズンをプレッシャーに感じないで楽しめるようにしていきたい。(代表選考会の)全日本選手権が一番大事な試合だと思うので、そこにしっかりと合わせて、オリンピックに出場できるように頑張りたいなと思います」

「4回転を1本にするか、トリプルアクセルを2本入れるか、どちらかにしようかと考えています。オリンピックシーズンは安定感のある、自信を持った演技構成でいこうと思っています」

 自分なりの戦略で北京五輪代表切符を勝ち取るべく、さまざまな自己分析から構想を練っていこうとしていたが、ケガによって計画の大幅な見直しを図ってくるはずだ。

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