友野一希「素直に自分をほめてあげたい」。GPシリーズで3位と確実な成長を見せた

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Getty Images

 ステップシークエンスはスピードのある滑り。後半最初のトリプルアクセルからの3連続ジャンプは最後の3回転サルコウが少しつんのめる着氷になってわずかに減点。そして次のトリプルアクセルは転倒のミスが出たが、終盤の2種類のスピンとコレオシークエンスはスピード感の豊かな友野らしい滑りをして締めた。

 演技直後、友野は悔しそうな表情をした。リンクから上がった直後には、コーチに「これが僕の実力」と苦笑いをしながら漏らすのが聞こえた。

 結果は168.38点で合計は自己最高の264.19点。2位のコリヤダにも0.45点及ばない3位となった。

「3位はうれしいですが、3年前のこの大会の3位とは違って悔しい気持ちもあるのは、自分の成長だと思います。ショートでリードして、『1位になれるかもしれない』というなかでも落ち着いて滑ることができましたが、緊張もしていて細かいミスが出ました。ただ、前回とは違って実力でもぎ取った表彰台という感じなので、素直に自分をほめてあげたいと思います」

 こう話す友野はSPのあと、「フリーは誰よりも練習を積んできた自信があるので思いきってやるだけ」と話していた。今大会は崩れてしまったが、SPがしっかり形になってきただけに、次は4回転3本を入れたフリーを完成させるという課題は明確になってきた。

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