河辺愛菜が急遽出場のGPで見せた大きな成長。「少しでもオリンピックにつながったらうれしい」 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 大観衆のNHK杯でも、彼女は物怖じしていない。SPではビバルディの「四季」より『冬』を使用曲に、風の声を聴くような静ひつな予兆が漂うなか、冒頭のトリプルアクセルを完璧に着氷。度胸のよさを感じさせた。

「すごく緊張していたんですが、落ち着いてできました。トリプルアクセルは6分間練習で感覚が合っていたので、自信を持っていけました。降りた瞬間は、安心感が強かった。アクセルは目標だったけれど、それだけにとらわれないようにしてやってきました」

 その後、彼女は3回転ルッツ+3回転トーループの大技も気をゆるめずに決めている。SPは73.88点と自己ベストを8点以上も更新し、2位に入った。

 そして翌日のフリースケーティング、河辺は「成熟」を見せている。

 パープルとピンクの濃淡にシルバーのストーンがちりばめられたゴージャスな衣装で『ミラクル』をたおやかに滑った。冒頭のトリプルアクセルは失敗したが、そのあとに気持ちが落ちていない。3回転ルッツ+3回転トーループを成功させ、次々にジャンプを決めた。ダブルアクセル+3回転トーループ+2回転トーループでは、リンクサイドでコーチが跳び上がって喜ぶほどの出来だった。

 折れない心でリカバリーし、フリーは131.56点と4位。トータルで3位と1点台の差で2位に滑り込んだ。

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