河辺愛菜が急遽出場のGPで見せた大きな成長。「少しでもオリンピックにつながったらうれしい」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

NHK杯SPの河辺。トリプルアクセルを成功させたNHK杯SPの河辺。トリプルアクセルを成功させたこの記事に関連する写真を見る「トリプルアクセルは(練習で)近くで跳んでいるのが梨花ちゃんなので。その練習を参考に、自分もこんなジャンプがしたい、と思いながらやっています」

 2019年11月当時、中学3年だった河辺は甘い声で懸命に思い言葉にする姿が印象的だった。

「アクセルは最初怖かったですが、だんだん怖くなくなってきています。でもシニアのトップ選手を見ていると、もっと確率を上げないといけないな、と。練習では絶対に成功できるようにしたいです」

 河辺はセンスだけに頼らず、常に上を見て、技を磨いてきた。その甲斐あって、わずか2年で確実に成長。トリプルアクセルは力強い武器になりつつある。最近はバックアウトが長すぎ、バラバラだった踏みきりを早めに飛ぶことを意識し、成功感覚は高まったという。

「今シーズンはトリプルアクセルに挑戦していきたいです。たとえ調子が悪くても入れたい」

 河辺は五輪シーズンの意気込みを語り、強固な意思が見えた。

 GP初戦のスケートカナダで、その一端を見せている。ショートプログラム(SP)でトリプルアクセルを失敗し、そのあとのコンビネーションジャンプにも引きずった。弱気になってもおかしくなかったが、フリーもひるまずトリプルアクセルに挑み、見事な成功で大きく巻き返した。難しいジャンプに挑みながら、演技全体のレベルアップを図っているのだ。

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る