村元哉中&髙橋大輔は「はちゃめちゃな日本っぽさ」などで観客を魅了。想像を超えた滑りで北京五輪出場へ一歩前進 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 11月12日、かなだいはリズムダンス(RD)で70.74点と、アイスダンスの日本歴代最高得点をたたき出す快挙を成し遂げている。

 RDは『ソーラン節&琴』で和の世界観を、黒と赤の法被を着たふたりが氷上に映し出した。髙橋の赤いヘアーエクステは、ふたりを結びつける証のようだった。「波の上をちょいやさ♪」というボーカルで、ふたりは同じ船に乗る運命共同体のように、スピードに乗った滑りでリズムのうねりを生み出した。後半はヒップホップで観客を引き込み、レベル4をとったツイズルが華やかにシンクロした。

「実は緊張していて、終わったあともお客さんがスタンディングオベーションしてくれていたのに、それに気づけないほどでした」

 髙橋は苦笑いで、そう振り返っている。

「第1滑走は予想して練習してきたので、そこは自信を持って挑めました。緊張感もありましたけど、1番目なので思いっきりやれたのかもしれません。演技前半は波や海やお魚や"水モノ"を表現して、後半は歌舞伎、忍者、芸者さんとか、浮世絵の世界というか、はちゃめちゃに日本っぽさを感じてもらえるように。公式練習よりも、本番でいい距離感で滑ることができました」

 アイスダンサーになっても、髙橋の本番の強さは健在だ。3度、五輪の舞台に立って、日本男子初のメダリストになった実績は伊達ではない。

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