羽生結弦、宇野昌磨、鍵山優真、佐藤駿......本田武史が今季の男子フィギュアを展望 (2ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • photo by AP/AFLO

 平昌五輪で銀メダルに輝いた宇野昌磨選手は今季、かなり調子がいいように見えます。楽しみながら挑戦する気持ちを持ち続けているようです。やはり鍵山優真選手、佐藤駿選手がシニアに転向してきたことが、宇野選手にとってすごくプラスになったんじゃないかと思います。若い選手が追いかけてくると、追われる者は恐怖も感じますし、刺激も受けます。勢いある後輩たちが出現したことによって、もう一回、尻に火がついたんじゃないかと思います。

 ショートプログラム(SP)ではまだ2つのプログラムをひとつに絞りきれずにいると聞いていますが、フリーの『ボレロ』は、すごいプログラムになるのではないかと思います。フィギュア界ではかなり有名な曲でありながら、なかなか音の取り方が難しい編曲になっているので、難しいプログラムになっています。そのなかで、今までに跳んでいなかった4回転ループや4回転サルコウを含む4回転5本のジャンプを入れてくるプログラムになっているので、過酷ですけど、できた時はすごく盛り上がる構成になっています。

 鍵山選手は4回転を含めてジャンプの質が高く、スケーティングに関しては海外でも高く評価されている選手なので、そこを生かしていくことが大事になってくると思います。4回転ループをプログラムの冒頭に入れてきたり、練習では4回転ルッツも降りていたりするので、今後試合を重ねるごとに、どの4回転ジャンプをプログラムに組み入れてくるかということが、今シーズンの見どころのひとつになってくると思います。

 フリーは『グラディエーター』。フィギュア界で『グラディエーター』といえば、ソルトレークシティ五輪王者のアレクセイ・ヤグディンが滑った有名なプログラムがありますが、それと比べるとまったく違う色のプログラムになっていると思います。プログラムの全体的な流れと滑りのなかでしっかりとジャンプを決めることが、勝利のカギを握るでしょう。

 鍵山選手と同い年のライバルである佐藤選手は、今シーズンになってから4回転ルッツと4回転フリップの精度がすごく上がってきています。鍵山選手と佐藤選手はジュニア時代から刺激し合っている間柄で、同世代の選手がお互いに競い合っていることも、すごくいい流れだと思います。

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