羽生結弦の新プログラムやジャンプ構成に期待。初戦から大技4回転アクセルに挑む可能性も (2ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 連戦で挑んだ10月29〜31日のスケートカナダで、SPは最後のジャンプを4回転トーループ+3回転トーループにしてノーミス。フリーは4回転を3種類4本へとレベルを下げ、わずかなミスはありながらも307.18点と立て直してきた。だが4回転6本の構成は、4回転アクセルを導入しようとしている羽生がそれを完成させてきた時の対抗策として準備していたものでもあるのだろう。

 羽生は今季、世界選手権3位で出場大会選択の優先権もなかったため、第4戦のNHK杯と第6戦のロステレコム杯に出場する予定だ。チャレンジャーシリーズの出場を回避しているのも見れば、国内でじっくり4回転アクセルの練習に取り組み、初戦からぶつける覚悟を決めていると思われる。

 そして10月に羽生は、テレビ朝日を通じて「今まで『進化』とか『挑戦』とか言ってきましたが、毎日できることは違うし、苦しんだり、楽しかったり、幸せを感じたり、悲しみを感じたり、いろんな感情はありますが、できることをひとつずつ丁寧に積み重ねていきたいと思っています。自分の一番の目標は4回転アクセルを完成したいということなので、そこに向かって今、全神経と、全気力を使っている感じです」というコメントを発表した。

 羽生にとって今季初戦となるNHK杯は、SPの初披露ともなる大会。7月のアイスショー「ドリーム・オン・アイス」に向けてのインタビューでは、曲名は明かさずに、「羽生結弦ならではのプログラムにしたいと思っています」と回答していた。昨季も当初はピアノ曲を探していながらも納得できる曲がないことと、見ている人を笑顔にしたいとロック調の『レット・ミー・エンターテイン・ユー』とした。

 だが、今季はフリーの『天と地と』を、4回転アクセルを入れた勝負のプログラムにするなら、SPにはピアノ曲を持ってくる予感がする。過去に『バラード第1番ト短調』と『SEIMEI』という、"クラシック"と"和"で挑んだように、テーマ性が高く、力強さも見せていく"和"の『天と地と』と組み合わせるなら、繊細な音を丁寧に表現するピアノ曲になるだろう。

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