宇野昌磨が喜んだ世界のレベルアップ。GPシリーズ表彰台もライバルの姿に刺激され「もっとできる」 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Getty Images

 それでも宇野は、淡々とこう振り返っていた。

「2位は光栄だし、これだけレベルの高いなかでのこの成績はすごいと思いますが、まだ自分の求めているレベルまで到達していないことを確認しました。今回はヴィンセント選手がすごかったですが、練習での彼の姿と安定したフリーの演技を見て、何回も何回も練習しているんだろうなと感じたので。僕はまだジャンプに気がいってしまってプログラムとしてはまだまだなので、僕ももっと練習できるなと感じました」

 宇野はアメリカへ来て感じたことがある。自身がフリーで挑む4回転5本のジャンプ構成を「難しいもの」と考えていたが、世界を見れば他の選手も挑戦していて、特別に構える必要はないと思ったのだ。

「もちろん(4回転5本の構成は)難しいことだとは認識しているし、失敗すれば今まで以上に順位変動はあります。ただ僕はもっと簡単な構成でもここ数年はまとめられなくて、ノーミスの演技もほとんどしていないので。それなら難しい構成を練習して挑んでいきたいというのを心がけているけど、世界のレベルはどんどん上がっている。今はそれが、素直にうれしいなと思います」

 自分だけではなく、多くの選手が挑んでいる。そこに自分がいられる満足感や、競技者としてのプライドを感じているのだ。

 2位という結果に満足するのではなく、すぐに11月のNHK杯へ向ける意識を高めていた宇野。彼にとってこのスケートアメリカは、挑戦することの楽しさを感じ、挑戦できる自分を誇れるような気持ちになれた大会になったのだろう。

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