村元哉中&髙橋大輔が感じる2年目の手応え。北京五輪に向け「自分のレベルをどれだけ上げられるか」 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 村元は、始まりの時をそう振り返っている。スケートの楽しさを伝えたいというふたりの呼吸が観客に伝わる。それが、"かなだい"の原点かもしれない。その軸がブレなければ、困難も乗り越えられる。実際、昨年はリフトやツイズル(多回転ターン)でミスも出たし、練習中に髙橋が転倒し、村元に乗りかかる事故もあったが、どうにか乗り越えた。そして実戦を経て、ふたりの絆は強くなった。

「ひとりだと、自分のことだけ考えられる。でも、アイスダンスは"合わせる"のが頭の隅にあって、より意識してしまう。『自分だけを考えて』と言われても、結局は『合わせよう』って無意識に。そこで自分の体の軸がずれ、一回ずれると狂ってしまい、それを戻す時間もなくて大変です。自分が回りやすいツイズルだけでなく、反対回り、足を換えて、とあるので」

 村元が丁寧に説明するように、一つひとつの部品を確かめる精緻さで、演技を高める必要があった。

「だんだん息は合ってきたと思います」

 そう語る村元は手ごたえを感じていた。

「(5月に公演した舞台)『LUXE』でも、大ちゃんに任せていました。リードをしてもらえているのを感じられて。アメリカに戻って練習を再開しても、大ちゃんのリードを感じています。アイスダンスは時間をかければかけるほど合ってくるので、時間との勝負ですね」

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