2021.08.28

宇野昌磨「一番難しい構成になると思っています」。北京五輪シーズンへの楽しみを語る

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

「宇野昌磨の生き方はこうなんだ、って姿を見せたい」

 彼は王者の孤高と向き合う。その原動力は、誰かと比較する競争心ではない。そこにある自分を常に超える。そのためには自らがスケートを心から楽しみ、それを観客に伝えて熱気を起こす。その呼吸によって、彼のスケーティングは完結するのだ。

 この日のリハーサルでは、今季のSPに予定している『オーボエ協奏曲』を滑っている。

 関係者と報道陣だけのリンクだったが、自分の曲で滑り出した時の彼は引力があった。冒頭の4回転フリップは跳ばなかったが、4回転トーループは成功。音を拾い上げる姿は際立った。上半身と下半身が別の生き物のようにうごめき、切なさや儚さや激情をそこに生み出す。演技が終わった時、ひと際大きな拍手が上がった。

「一つひとつ、例年よりいいジャンプが跳べているので、試合につなげられるように練習していきたいと思っていて」

 スポットライトを浴びる宇野は頬を紅潮させ、唇は赤みを増し、肌を輝かせていた。