2021.07.26

羽生結弦が失意から立ち直れた理由「ファンやコーチが信じてくれた」

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

「4回転ループは、気持ちよく飛べたし、これまでの試合の中では一番きれいに跳べたと思うけど、サルコウが痛いですね。跳んだ瞬間の感じはよかったのですが、降りた瞬間に『あれっ?』と思いました。映像を見たら、軸がちょっと後ろに倒れていたかなと......。このシーズンは、ずっと『悔しい』ばかり言っていますが、経験を生かせずに終わってしまい、不甲斐ない気持ちでいっぱいです」

2017年世界選手権、SP演技の羽生2017年世界選手権、SP演技の羽生 この記事に関連する写真を見る  要素が限定されているSPでは、ノーミスは必須。シーズンを通してそれが実現できなかったことに、不甲斐なさを感じていた。だが、その失意を2日後のフリーで吹き払った。

 フリーは最終グループ第1滑走者。羽生はしなやかで流れのある滑りを披露した。少しスピードを上げて臨んだ後半の4回転サルコウ+3回転トーループをGOE(出来ばえ点)加点2.43点で決めて勢いに乗り、その後の4回転トーループも成功させた。得意とするトリプルアクセルからの連続ジャンプや3回転ルッツもきっちり決め、シーズン初のノーミスで大会を終えた羽生はフリーについてこう振り返った。

「ショート後はすごく落ち込んでしまって、なかなか立ち直ることができませんでした。でも、チームやファンの人たちが信じてくれていたのが、この演技につながったんだと思います。演技内容を忘れるくらい、ひとつずつ集中して一所懸命にやれたと思うし、今の自分を表現しきれました」

 得点は、自身が2015年のGPファイナルで出した世界歴代最高得点を3.72点更新する223.20点。合計を321.59点にして世界選手権2度目の優勝を果たした。