羽生結弦、苦難は「貴重な経験」と語る強さ。「こういう性格だからこそ、アクシデントからはい上がって来られた」 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 大会最終日4月19日のエキシビション前には、「今シーズンは完璧な演技がひとつもなかったのが悔しい」と話した羽生。完璧な演技を実現できるシーズン最後の場だったフリーでは、冒頭の4回転サルコウを練習時と同じようにきれいに決めたが、次の4回転トーループが3回転になってしまった。

「世界選手権の後もしっかりと練習していましたが、曲をかけた通しの練習では両方がそろわないことがけっこうありました。4回転サルコウを降りた後、疲労感があるというか......。4回転トーループを続けて2本だったら、同じことをやればいいと思っていますけど、サルコウとトーループはまったく違うものなので、そこの(感覚の)ズレがけっこうあります。そういう難しさをあらためて感じました」

 羽生は、トーループが3回転になった後、ややスピードを抑えたように見えた。「パンクになって回転数が減ったジャンプは、変な力の入り方になってしまうため、成功した時より疲れる」と自身が説明したとおり、予定していたジャンプを失敗した影響もあったのだろう。

 ミスをした直後、「自分の演技を確実にやり遂げよう」と意識を切り替えた羽生は、フリーでトップの得点を記録。それでも、演技終了後はSP後と同じように「悔しい」と口にした。

「4回転トーループが3回転になってしまったため、そのあとの連続ジャンプのセカンドを(3回転トーループから)2回転にしなければいけなくなって、GOE(出来ばえ点)も含めて8〜9点は失ったと思います。(成功していたら)200点を超えていただろうなと思う」

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