浅田真央は現役時より力強くしなやかに。「スケートに愛を感じます」 (2ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • 能登直●写真 photo by Noto Sunao(a presto)

 座長として演出もこなし、9人のキャスト(メンバー)を率いて、多くのスタッフも抱えるツアーの責任者を務めてきた。真央さん自身、80分間のアイスショーのなかで約40分間も滑っている。30歳になった真央さんは、プロスケーターとしてのプライドをしっかりと見せ続けた。最後まで"全力投球"の滑り、気迫のこもった演技で見る者を釘付けにした。現役時代よりもスケーティングの力強さとしなやかさは増しており、その充実ぶりは目を見張るものがあった。

「頭の中で考えているフィギュアスケートのことは、選手の時とまったく変わらなかったかもしれないです。ただ、選手の時は、本当にスケートだけをしていたんですけど、いまはスケートだけじゃなくて、いろいろなところに行ったり、いろいろなことを経験させてもらったり、いろいろな方と出会ったりして、たぶん選手の時よりも充実していた3年間だったので、あっという間に終わってしまいました。

 それに、リンクにいるのはひとりじゃないんだなとすごく感じていて、メンバーがいてくれて、すばらしいスタッフのみなさんがいろいろとサポートしてくださって、そしてお客様が会場に来てくださってできるサンクスツアーなので、アイスショーの時間はもちろん緊張もするんですけど、選手のときには感じられなかったような愛を感じ、たくさんの愛があふれている空間がすごく好きでした」

 特に目を引いた真央さんがソロで演技したプログラムは、現役最後の2016-17年シーズンにエキシビションナンバーとして作った『チェロ・スイート』。このプログラムは、さまざまなステップやムーブメントをこれでもかと魅せる真央さんの真骨頂を引き出した思い入れのあるプログラムのひとつだ。久しぶりにその演技を見られて、幸せな気分に浸ることができた。

 また、同じシーズンに競技用として作った『リチュアル・ダンス』も群舞用にアレンジして披露。ショートプログラムの黒バージョンでは4人の男子メンバーと、フリーの赤バージョンでは5人の女子メンバーとともに迫力ある演技を表現してみせた。

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