紀平梨花が不本意な結果から得た学び。「強気で、楽しく、前向きに」 (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 高橋 学●写真 photo by Takahashi Manabu

 昨シーズン使用していた『International Angel of Peace』で構成を落とし、乗り切る目算だった。

「今シーズンのプログラムはジャンプが一つでも乱れると、すべてが崩れてしまう難しさがあって。昨シーズンのは慣れているし、タイミングも使いやすい。ただ、いつもと構成が違ったので、(どのジャンプを入れるかなど)頭をフル回転させながら......」

 冒頭の3回転サルコウを華麗に決め、ダブルアクセル+3回転トーループはどうにか堪え、3回転ルッツはGOE(出来ばえ点)を叩き出した。ダブルアクセル+3回転トーループを成功したが、3回転フリップ+2回転トーループは転倒。ぶっつけ本番で、フリップ+トーループの感覚がつかみきれていなかった。

「出るって決めたからには、『ノーミスで』って思っていたので、悔しいです」

 フリー後、紀平は言った。スコアは132.39点で5位。不本意な成績だろうが、最善を尽くした達成感はあったはずだ。

「ケガをしないのが大事だなとは思いますね。ただ、(最近は)試合の時に疲れた状態になっていたんですけど、今回のように(練習で必要以上に)動かないと調子がよくて、疲れを取るのは大切だと思いました。それは今回の学びで。試合にコンディションを合わせられるように」

 紀平は終始、笑顔を作っていた。7位と苦戦した世界選手権を終え、切羽詰まった感じはよくないと思ったという。それも学びの一つだ。

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