羽生結弦、国別対抗戦の自身の演技を評価「4回転半に続く道を示す」

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 高橋 学●写真 photo by Takahashi Manabu

 特に自身で高く評価していたのは、公式練習から苦しんでいたトリプルアクセルを、最後の単発ジャンプでは仕上げたことだった。

「表現としてスピードを抑えているが、その中で自分でも力みを感じることなく、非常にスムーズに軸に入って高さもあるいいジャンプだった。今できる自分のベストのトリプルアクセルだったと思います」

 そして、トリプルアクセルへの思いをこう説明した。

「世界選手権を含めた2試合ではトリプルアクセルがあまりにうまく決まらなくて、すごくショックを受けていました。悔しかったというか......。何か、トリプルアクセルに対して、すごく申し訳ない気持ちでいました。だからこそ今日は、最後の最後は、と。もちろん世界選手権の記憶がかぶりましたけど、『絶対にきれいに決めてやるんだ』、『4回転半に続く道をここで示すんだ』という気持ちで挑みました」

 フリー曲『天と地と』は昨年12月の全日本選手権で、初演ながら強い決意を感じさせる滑りを披露した。会場全体を埋め尽くす濃密な空気感を作り出した演技はあまりにも強烈な印象を与えられた。それと比べれば、3月の世界選手権と、今回の国別対抗戦の演技は、彼自身、決して満足できるものではなかっただろう。

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