羽生結弦、国別対抗戦に持ち前の集中力で臨む「誰かの光になれるように」 (2ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 高橋 学●写真 photo by Takahashi Manabu

公式練習時、氷上で笑顔を見せた羽生公式練習時、氷上で笑顔を見せた羽生 隔離期間中はずっとホテル住まいで、外出は練習を行なうリンクだけという生活。「練習できる措置を取ってもらえたことは本当に感謝している」と話すが、「十分な練習ができたかと言われれば、そうではないというのが本音」とも明かした。

 そうした状態もあってか、一本一本のジャンプにじっくりと時間をかけ、氷の状態を確かめるように跳んでいた。それでも、フリーの『天と地と』の曲かけ練習では、曲が始まるとともに動きは一変し、気持ちが入ってきたように見え、冒頭の4回転ループをきれいに決めた。

 だが、曲かけの前には2本をきれいに決めていた4回転サルコウでパンク。次のトリプルアクセル+2回転トーループはしっかり決めるも、その後の3回転ループは転倒と、珍しい姿を見せた。気持ちを落ち着かせるように時間を取った後、4回転ループからの連続ジャンプ2本はきちんと降りた。最後のトリプルアクセルは重心が下がる着氷になって乱れ、残りは滑ることをやめ、ジャンプのイメージの確認に没頭していた。

 羽生は、得意とするトリプルアクセルを世界選手権のフリーでは2本とも失敗していた。エキシビションではきれいに決めたが、帰国後の練習量が十分でなかった影響によりわずかなズレをまだ解消しきれていない状態に見える。曲かけ後にはショートプログラム(SP)のジャンプを通しで練習。最初の4回転サルコウと、4回転トーループ+3回転トーループはしっかり降りたが、最後のトリプルアクセルはパンクしてシングルになった。

 きれいに決まったジャンプがあった一方で、前に大きくつんのめって手をつく着氷になるシーンもあるなど、ちぐはぐ感も残った。珍しくトリプルアクセルに何度も挑戦する姿は、羽生自身も違和感を感じていることを伺わせた。

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