羽生結弦、宇野昌磨、チェン...本田武史がトップスケーターを分析 (2ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • 田口有史●写真 photo by Taguchi Yukihiro

 その4回転アクセルをしっかり回って跳ぶまでに、「8分の1、回転が足りない」と本人は言っていました。この8分の1という意味が、ルール上のクオータ判定である4分の1回転に、まだ8分の1足りないということなのか。それとも、もうクオータを超えてクリーンまで行っているジャンプで、「降りる最後の8分の1回転分が足りない」という意味なのか。もし後者であれば、ほとんど成功しているのと同じです。

 総合4位の宇野昌磨選手については、全日本選手権後、「もっと成長したい」と語っていました。ステファン・ランビエールコーチのもとで、学ぶことがたくさんあったのではないかと思います。今までにやったことがないバレエや陸上トレーニングなども学ばなければいけなかったはずです。

 たぶん宇野選手はいま、成績よりも、スケートをうまく滑りたいとか、いろいろなことを吸収したいという気持ちのほうが大きいと思います。インタビューで宇野選手は、「これまでの世界選手権は必ず泣いて終わっている」と言っていましたが、今回の世界選手権ではすごく楽しそうに終わっていたのが印象的でした。

 公式練習ではトリプルアクセルも4回転も、ほとんどのジャンプを失敗していたので、試合本番でよくここまで持ち直して、ジャンプを成功させたなと思いました。スウェーデンに入ってから全然ジャンプが跳べなくなったらしいです。ただ、演技後のインタビューでは「奇跡的にできたわけじゃなくて、スイスでの練習で積み重ねてきたものとか集中力が重なってできた」と言っていました。イチかバチかでつかんだわけではないのですね。やはり土台の部分がしっかりできあがっているからこその演技だったと思います。

 今後は、4回転ループをまたプログラムに入れるのか、ジャンプ構成の難度をどこまで上げられるかがカギを握ってくると思います。その意味で、まったく違うテイストで五輪仕様のSPとフリーを作ってくるのか、来季のプログラムが楽しみなところです。

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