鍵山優真、2位発進から偉業達成へ。海外メディアにも堂々の受け答え (2ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • 田口有史●写真 photo by Taguchi Yukihiro

 冒頭の4回転サルコウ+3回転トーループを軽々と決めると、波に乗って、続く4回転トーループでもキレのいいジャンプを跳んでみせた。そして基礎点が1.1倍になるプログラム後半では本人が「鬼門」と言うトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)をしっかりと成功させた。いずれのジャンプもGOE(出来栄え点)加点で2点以上がつき、特に冒頭の連続ジャンプでは3.46点の高い加点をマーク。ステップと3つのスピンではすべてレベル4判定をもらい、世界の舞台でジャッジから高評価を得たと言っていいだろう。

 海外メディアから「17歳で初めの世界選手権で、恐れを感じない堂々とした演技がどうしてできたのか」と問われた鍵山は、「初めてだから緊張する部分もあれば、初めてだからこそ、逆に思い切りできる部分もあると思います。今日のSPは正直なところ、緊張よりもすごく早く試合がしたいとか、楽しみとかのほうがすごく大きかったので、SPでそういう演技ができて、楽しさを見せられたことがすごくよかったと思います」と、しっかりした口調で答え、胸を張った。

 5歳でスケートを始めた鍵山は、オリンピアンの父である正和コーチから徹底的に基礎を叩き込まれ、特に基本のスケーティングを指導されてきた。そして、目標を定めると段階を踏み、ライバルが一足先に結果を残しても焦ることなく、着実に階段を上ってきた。

 ジュニア時代に苦手だったトリプルアクセルを習得してシニアに転向すると、4回転時代を迎えた男子シニアで戦うためにトーループとサルコウの2種類の4回転も自分のものにして、世界のトップ選手たちと戦えるベースを作った。

「世界選手権(2019年埼玉大会)を生で見たからこそ、そこで自分のモチベーションもやる気も目標もすべて上がって、この2年間、ずっと努力し続けてきました。その努力が報われたというか、とりあえずSPは練習してきたことをすべて出し切れたので、よかったです。もちろん、フリーもノーミスでやることが目標ですけど、ひとつひとつ丁寧に落ち着いてやって、自分が納得いく演技ができればいいかなと思います」

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