安藤美姫が日本女子3選手の世界選手権展望を語る「カギはGOE」 (2ページ目)

  • 辛仁夏●取材・文 text by Synn Yinha
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 今季の坂本花織選手は、2シーズン継続したフリー『マトリックス』の成熟度がすばらしいです。全日本選手権の演技のように、ダイナミックなジャンプを跳び続けて、なおかつ、スケーティングのテクニックだったり、スピード感をしっかりと盛り込んでいけば、海外でも高い評価をもらえると思います。

 SPもフリーも、まだトリプルアクセルや4回転が入っていないですが、上位争いに絶対に食い込める質の高いジャンプ技術やスケーティング技術を持っているので、全体的なパッケージとして滑ることを大事にすれば、高得点を狙えます。大技ジャンプを持っていないだけに、すべてのエレメンツ(要素)の質を高めて、完成度の高いノーミス演技をしてGOE(出来栄え点)加点を稼ぐことが勝負のカギになりそうです。

 宮原知子選手は、他のトップ選手と比べると、体全体で音を表現したり、解釈したり、メリハリをつけたりとプログラムを演じる雰囲気作りがずば抜けています。そこが宮原選手の一番の魅力だと思います。

 フィギュアスケーターの醍醐味である表現力や、アーティストとしての演技力は、絶対に見応えのある選手なので、まずはその部分を見ていただきたいですね。上位に食い込めるかどうかは、宮原選手本人も課題に挙げているジャンプの回転不足をどこまで修正できるかにかかってくると思います。

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 紀平選手はじめ、日本勢にはメダル争いの一翼を担ってもらい、表彰台を独占してもらいたいですが、おそらく今季もアンナ・シェルバコワ選手、アレクサンドラ・トゥルソワ選手という、4回転ジャンパーのロシア勢が優勝候補になってくるでしょう。その筆頭であるシェルバコワ選手は、まだトリプルアクセルを習得していないと思うので、彼女がSPでどんな得点を出してどの順位につけてくるか、そこで日本勢がどれだけ上回れるか、どの程度肉薄しているかで勝敗の行方が左右されるはずです。

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