羽生結弦が見せた新たな一面。2017年世界選手権での劇的な大逆転優勝 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

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世界選手権後の記者会見の羽生世界選手権後の記者会見の羽生『ホープ&レガシー』は久石譲氏のピアノ曲『ビュー・オブ・サイレンス』と『アジアン・ドリーム・ソング』を組み合わせて作った曲だ。

 2015ー16シーズン終了後、ケガによる2カ月の安静期間を経て、出だしが遅れた羽生。それでも、新たに4回転ループを取り入れ、後半には4回転2本と、トリプルアクセルからの連続ジャンプも2本組み込む難度の高い構成にした。そのプログラムの魅力の片鱗を、シーズン初戦のオータムクラシックで見せた。

 静かなピアノの音色に乗って滑り出して4回転ループと4回転サルコウを決めると、コンビネーションスピンとステップシークエンスをその静けさを持ったまま滑り、ステップの続きのように3回転フリップも決めた。4回転サルコウの連続ジャンプから始まる後半はミスを重ねたが、静謐(せいひつ)感のある演技は印象的だった。

 この2016ー17シーズン、羽生は4回転ループ、そして難度を高めた後半の演技に苦戦していたが、シーズン最後の大舞台である、フィンランド・ヘルシンキで開催された世界選手権は思いのままに表現するノーミスの演技にたどり着いた。この時は、ショートプログラム(SP)5位発進からの逆襲だった。羽生は大会後にこう振り返った。

「(SP後は)追い込まれたというより、"自信喪失"といったほうが近いですね。ミスの原因がすぐに見つかって『ここがダメだったから、次はこうしよう』というのがわかっていれば、多分そこまで落ち込まなかったのかもしれないですけど、やはり5位の結果も含めて、自分がどうしていい感覚の中にも関わらずミスをしてしまったのか、(演技の)最後までわからなかったです......」

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