羽生結弦はプログラムを精緻に組み立てる。最高得点更新へのアプローチ (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

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2017年、難度を高めた『バラード第1番』で臨んだ羽生2017年、難度を高めた『バラード第1番』で臨んだ羽生 この時は冒頭に4回転サルコウを入れ、GOE(出来栄え点)加点3点の評価を受けた。それについて羽生はこう話した。

「今回のショートを見て、チームの人たちがどう思ったかわからないですが、お客さんの中には、限りなく『(4回転ループではなく)サルコウでいいんじゃないか』と思った方もいたかもしれない。サルコウでこの点数を安定して出せるようになったら、フリーにもっと力を入れられるんじゃないか、と。そういう気持ちが僕の心の中で芽生えてしまったところがあったので、そこが悔しいんです」

 そんなことを考えたのは、自分の思いを曲に乗せる完璧な演技ができたからだろう。だが、冒頭を4回転ループにして完璧に決めれば、さらに1.5点がプラスされ、ジャンプの基礎点合計は37.41点になる。それは、4回転ループと4回転サルコウ+3回転トーループを前半に入れた前季より1.26点高く、当時の歴代最高得点110.95点を出した15年グランプリ(GP)ファイナルの基礎点34.45点を上回る。

 これは、ルッツとフリップの4回転を入れて世界最高難度(当時)の構成であるネイサン・チェン(アメリカ)のジャンプ基礎点合計には2.14点劣るものの、もちろん最高レベルである。

 また、このオータムクラシックでは48.55点だった演技構成点も、ほぼ満点といえる15年のGPファイナルで出した49.14点に近づけて、これを上回ることも可能なはず。

 この大会で自己最高得点を1.77点伸ばした大きな要因は、4回転トーループからの連続ジャンプを後半に持ってきたことで、基礎点が1.1倍になったことと、ステップで獲得したレベルがレベル3からレベル4に上がった点にある。

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