2021.01.30

鍵山優真、世界選手権へ向けて確かな成長。貪欲な17歳は大技も視野に

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • 坂本清●写真 photo by Sakamoto Kiyoshi

冬季国体男子個人の部で優勝した鍵山優真、フリーの演技冬季国体男子個人の部で優勝した鍵山優真、フリーの演技  今季6戦目で4勝目を挙げた戦いを終えて、鍵山は満足そうに振り返っていた。

 今季は非公認ながら(当時の)世界歴代5位相当の287.71点で優勝するという鮮烈なデビューを飾った関東選手権をはじめ、東日本選手権準優勝、国内選手だけで開催されたグランプリ(GP)シリーズのNHK杯初優勝、全日本選手権3位、全国高校選手権(インターハイ)優勝、そして今回の国体優勝と、計4タイトルを獲得する輝かしい成績を挙げた。

 もちろん、いずれも国内大会での結果で、世界のトップ選手たちとの競演はほとんどなく、シニアデビューの戦いとしては物足りなさがあることは否めない。強いて挙げれば、全日本選手権で羽生結弦、宇野昌磨らと戦い、2年連続表彰台に立って3位に食い込み、3月の世界選手権(スウェーデン)代表になったことで、その実力が証明されたと言っていい。

 イレギュラーなデビューシーズンを戦いながら、世界的な振付師のローリー・ニコル氏が作ったプログラムを滑りこなし、4回転ジャンプの種類を増やし、苦手意識のあったトリプルアクセルも安定感を増してくるなど、確実に成長している姿は見せた。

 周囲がいくらもてはやしても、17歳の鍵山は貪欲な姿勢を崩さずに、しっかりと前を見据えている。

「試合や練習を通して、だんだん自分の理想としている完成形には近づいてきているので、ジャンプを跳ぶだけではなくて、自分が理想としている表現力と滑りはしっかりできているのはよかったかなと思っています」

 国体の公式練習では4回転ループにも挑戦して、着氷がわずかに乱れながらも降りていたという。

「4回転ループは、入り方を変えてから恐怖心がなくなったので、正月明けからずっと練習を続けています。フリーの練習として『サルコウとトーループをやれ』と言われていたんですけど、それでも時間が余っていたので4回転ループをやってみようと思って跳んでみました。

 練習でとても確率がいいという状態ではなく、正月明けに降りたのは2回なんですけど、ここ最近はステッピングアウトなどで転ぶ回数が少なくなってきたので、少しずつ自信にはなっているかなと思います」