2020.12.31

鍵山優真が「やべェ」と思った瞬間。実感した羽生結弦、宇野昌磨との差

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 鍵山のフリーは、冒頭の4回転サルコウが空中で軸が少し斜めになるジャンプとなり、予定していた3回転トーループを付けられない滑り出しで、次の4回転トーループもステップアウトになるミス。動揺もあったのか、続く3回転フリップは「ノット・クリア・エッジ」(明確でない踏み切り)と判定され、GOE(出来栄え点)を伸ばせなかった。

 それでも途中から持ち直し、4番目の4回転トーループに3回転トーループを付けて3.53点のGOE加点を獲得。トリプルアクセルからの3連続ジャンプは着氷でよろけて2番目のオイラーがダウングレードになる判定で最後のサルコウも2回転になったものの、3回転ルッツ+3回転ループからはしっかり立て直した。

「トーループでミスをした後は根性で連続ジャンプのリカバリーをしたし、練習ではできていなかった後半の3回転ルッツ+3回転ループもやれてよかった」

 ただし、中盤のフライングキャメルスピンと、ジャンプをすべて終えた後のステップシークエンスはレベル2。全体的につなぎの滑りに余裕がなく、SPと同じように「踊り切れていない」部分は課題として残った。

 鍵山はこう振り返る。

「フリーは2番目の4回転トーループでステップアウトした瞬間に『あっ、やべ』と思った。不安と緊張がすごく頭の中をよぎって、演技どころじゃなくなりました。ちょっとミスをしても、落ち着いて演技ができるようになるのが課題です。失敗をしても他の部分で引きずらないようにして高い得点を出せる選手にならないと世界では戦えないと思うので、今持っている技の精度をもっと上げていかなければいけない」