紀平梨花、4回転成功後も「まだ10点以上伸ばせる」。ロシア勢から刺激 (3ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • 能登直●写真 photo by Noto Sunao(a presto)

 それでも、この1年間すごく長いようで短かったなと思っていて、いま試合を終えてみて感じることは、北京五輪に向けて、あまり達成感のない練習を積み上げてきたことは無駄でなかったなと思いますし、1年間諦めずにコツコツやってきてよかったと思います」

 そう話す表情には誇らしさが宿っていた。

 優勝した紀平は、来年3月に開催予定の世界選手権(ストックホルム)の代表に選出された。もちろん、まだ収束できていないコロナ禍で大会が開催されるかどうか、先行きは不透明だ。それでも、全日本選手権と同時期に行なわれていたロシア選手権は大いに刺激になったようだ。

「自分のことで精一杯だったので(ロシア選手権の)演技自体は見られなかったですが、点数と順位は確認しました。私も目標としている(フリーで)160点台だとか、もっともっと高い得点を出した選手もたくさんいて、すごい刺激になりました。私ももっと完成度の高い演技を目指していきたい。今回はまだ痛みがあるので3回転ルッツを外したり、完全な構成ではないし、もっとレベルは上がると思う。その課題を克服したら、いまよりも10点以上は点数を伸ばせると思いました。

 次の試合までに今回の反省点をしっかり練習して、いろいろ修正して、ロシアの選手と世界選手権で戦っていけるようなレベルにして、ショートとフリーともに自分がもうこれ以上できないという完璧な演技をしたいです」

 金メダル獲得を目指す2022年北京五輪も近づいてきた。そんな大事な時期についに大技を試合で決めてみせ、「一歩進めたなという気はします」と、世界のトップで戦えるステージに立てた手応えをつかんだ。ここからさらなる成長をどう遂げられるのか。ロシア勢とのライバル対決を楽しみに待ちたい。

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