髙橋大輔&村元哉中の覚悟。逆境を跳ね返したアグレッシブな攻めの姿勢 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 そして映画『マスク』の曲が会場に流れると、冒頭のミッドラインステップから、ふたりは観客を惹きつける。それぞれの滑りに乱れはなかった。逆境をはねつけるように、曲に乗って体が動いた。フィンステップ、ツイズル、そして最後のローテーショナルリフトまで、決然と滑った。結果、スコアは67.83点。NHK杯をしのぐ点数で、5組中2位に入った。

〈攻める〉

 ふたりはそう誓い合って大会に挑んだが、勇敢さを示したと言えるだろう。

「(11月の)NHK杯を終えて、リズムダンスに関してはところどころ変えました。もう少しスピードが出るトランジションだったり、動きを大きく見せることだったり、変更点が多くて。このようにケガをした状況で、演技をまとめられたのはよかったです」

 村元はそう言って、安堵で胸をなでおろした。演技中はテーピングも巻いていなかった。それも花咲くアイスダンサーとしての矜持か。

「演技が始まる前から、お客さんがあたたかい空気を作ってくれて。おかげで、楽しんで滑ることができました」

 髙橋はそう演技を振り返っている。

「前回のNHK杯は初めてだったこともあり、お互い慎重になってしまったので。今回は練習から思い切って、アグレッシブにやってきました。技術的に短期間で変えるのは難しいですが、気持ちのところが表現で出たかもしれません」

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