髙橋大輔&村元哉中の覚悟。逆境を跳ね返したアグレッシブな攻めの姿勢 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

演技前の練習で村元が負傷するアクシデントがありながら好演技を見せた髙橋と村元演技前の練習で村元が負傷するアクシデントがありながら好演技を見せた髙橋と村元 リズムダンス、当日。公式練習で、村元が左足をケガするアクシデントがあった。フィンステップでタイミングがずれ、足と足がぶつかり、絡まって倒れる。その瞬間、髙橋の全体重が村元の左膝のあたりに乗っかった。

「初めての感触で、一瞬、パニックになってしまって」

 村元は明かす。

「とりあえず、大ちゃんには『大丈夫だよ』って繰り返して。余計なことは考えないようにしながら、でも『どーしよー』って不安で、しばらく立ち上がれなくて。立ち上がった時、本当にやばいと少し体重をかけるだけで無理なんです。でも、どうにか立てたので......。左膝の裏のハムストリングあたりのケガだと思いますが、あらためてドクターに診てもらうつもりです」

 痛みがはしってうずくまるということは、内出血はほぼ間違いない。その時点で、明らかな逆境だった。

「哉中ちゃんが自分を気遣って、『大丈夫だよ』と言っているのはわかっていました」

 髙橋は言う。

「僕としては、『しっかりしなきゃ、動じないように』とは心がけていました。僕が動揺しても何もならないので。哉中ちゃんを心配させないように、いつもと変わらないように過ごしていました」

 ふたりの気持ちは通じていた。5分間練習での感触で、演技の可否を決めることにしていたが、氷に乗った感触は悪くなかった。5番目の滑走順、戦うことを決断した。

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