紀平、坂本、宮原、樋口らを追う16歳、松生理乃が急成長中! (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 田口有史●撮影 photo by Taguchi Yukihito

 昨季、初参戦のジュニアGPリガ大会で193.03点の3位となり注目を集め始め、今年、一気に成長してきた。9月の中部選手権ジュニアはシニア1位を5点以上上回る183.31点で優勝すると、10月末の西日本ジュニア選手権を188.90点で制した。同大会のシニア女子と比較すれば、坂本と三原舞依に次ぐ3位の得点だった。

 その勢いで11月の全日本ジュニアはショートプログラム(SP)でノーミスの69.06点を出して1位発進し、フリーはフリップの減点はあったものの、129.32点を獲得。合計198.38点に伸ばして初優勝を果たした。

 松生の強みは、助走が短く力みのない流れのいいジャンプだ。今季の躍進の大きな要因として、SPでは初戦から3回転フリップ+3回転トーループを基礎点が1.1倍になる最後のジャンプに入れ、大きな得点源にしている。さらにフリーでも西日本から、3回転ルッツ+3回転トーループと、3回転フリップ+3回転トーループ+2回転トーループ、3回転サルコウ+3回転トーループの連続ジャンプをすべて後半に入れて得点力を高めた。日本女子のトップ選手でもやっていないような高難度の構成にしている。昨年からトリプルアクセルの練習もしているという。

 ジャンプだけではなく、滑り自体も腕をしなやかに使って表現の効果を高めている。ステップではしっかり音に乗り、曲調に合わせて動きの間を取ることができているのも特徴だ。

 NHK杯のSPは、スピンをすべてレベル4にするなどの丁寧な滑りで65.74点を獲得。後半の3回転フリップ+3回転トーループでは最初のフリップがダウングレードになって減点されたが、4位発進。フリーは、前半の3回転ループをミスして減点され、3回転フリップ2本が「ノット・クリア・エッジ」(明確でない踏み切り)と判定されたが、流れを途切らせずに演じ切り、坂本に次ぐ133.23点を獲得。合計を198.97点にして3位になり、シニアを押しのけて表彰台に上がった。

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