本田真凜、悪戦苦闘の今季。元世界ジュニア王者は輝きを取り戻せるか (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 田口有史●撮影 photo by Taguchi Yukihito

フリー演技の本田。実力を出し切れなかったフリー演技の本田。実力を出し切れなかった 2018年から、本田はあえて厳しい道を選び、アメリカに拠点を移している。異国での生活、言葉の壁、帰国したときの調整方法に苦しみながら、経験を積み上げていった。結果が出そうなところで、19年にタクシーの追突事故に遭う。ハンディを負いながらグランプリ(GP)シリーズを戦い抜き、全日本選手権ではフリーで最終滑走組に入った。

 本田は逃げていない。

 今シーズンも、初戦になるはずだった10月のジャパン・オープン開幕直前、ジャンプの転倒で右肩を脱臼し、一度は自分で肩を入れた。翌日に滑った時に再び肩が外れ、棄権せざるを得なかった。NHK杯まで休むべき状態も、東京選手権出場を強行した。フリースケーティングで違う曲のCDを渡すも、即興で滑り切った。自らのミスをリカバリーし、東日本選手権、全日本へ勝ち進んだ。

 本田は、もがきながらも必死で前へ進んでいる。

 NHK杯では、転倒やすっぽ抜けのような大きなミスをしていない。演技構成点だけでいえば、上位と比較しても遜色はなかった。フリーのスピンはすべてレベル4で、優雅さを醸し出した。3回転の連続ジャンプを回避するなど難易度は少し落としていたものの、ジャンプもすべて着氷していた。

 しかしながら、7本中6本のジャンプが回転不足やエッジエラーと判定されてしまったのだ。

「ケガ明けから、ジャンプは回転不足になってしまうことが多くなって。大会が近づき、全体的に戻ってきていたし、しっかり回り切って降りるということは心がけてきましたが......。回転不足になると、せっかくジャンプを跳んでもマイナスがついて、失敗したのと同じようになってしまうので。次に向けての課題ですね」

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