樋口新葉は羽生結弦と同じ発想でトリプルアクセルに挑戦していた (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 田口有史●撮影 photo by Taguchi Yukihito

 そのSP、「これまでの試合より緊張した」というトリプルアクセルは、回り切った判定だったが転倒。「ショートのアクセルはフリーとは入り方が違うので、途中から気持ちが弱くなってしまったのが失敗の原因だと思います」と樋口は振り返った。

 それでもその失敗を引きずることなく、フライング・キャメル・スピンの後の3回転ルッツ+3回転トーループは1.53点の加点をもらう出来。東日本選手権ではノット・クリア・エッジ(明確でない踏み切り)と判定されていた3回転フリップも着実に決めて69.71点で2位発進した。転倒した直後のスピンはレベル3だったが、その後のジャンプはしっかり決めたうえ、残りのスピンとステップはレベル4と崩れることはなかった。

フリー演技後にガッツポーズを見せる樋口フリー演技後にガッツポーズを見せる樋口 翌日のフリーは最初のトリプルアクセルをしっかり着氷。次の滑りにつなげる演技で、力強いガッツポーズを見せた。樋口はこう話す。

「トリプルアクセルを試合できれいに決められたのがうれしかったので、思い切りやりました。少しこらえるような着氷になってしまったけれど、耐えて次のジャンプも大きなミスなく滑り出せたのでよかった」

 結果的に4分の1回転足りない判定だったが、減点は0.16点にとどめた。演技後には「やはりちょっと浮きが足りなかったと思います。スピードはすごくよかったですが、ちょっと体を締めるタイミングが遅れて、回転をかけるのが遅くなりました」と述べた。

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