羽生結弦は敗北して自らのスケートを考え直し、さらに進化した (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

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2013年8月公開練習の羽生2013年8月公開練習の羽生 このシーズンのフリーに採用した『ロミオとジュリエット』は思い入れのあるプログラムだった。

「小さい頃からやってみたいと思っていた曲ですし、東日本大震災後のシーズンに全国各地を転々としながらアイスショーで滑っていた頃の曲でもあるので僕にとってはすごく大切なプログラム。今回は別の作曲者で曲調も違うから、雰囲気も変わると思いますが、今しかできない最高の『ロミオとジュリエット』をシーズン通してやってみたい」

 ショートプログラム(SP)を前シーズンと同じ『パリの散歩道』にした理由については、「95点台の世界歴代最高得点を連発した時よりレベルアップさせて高得点を狙いたいという目標と同時に、ショートで余裕を持つことでフリーの完成度を高めることに集中できるメリットも大きい」と説明。エレメンツ(要素)の精度向上を目指していたのだ。自分の特質を見極め、何を武器にするべきかを考える姿勢は冷静そのものだった。

 そうした意識が少しずつ変化し始めたのは、このシーズンのグランプリ(GP)シリーズ2戦目のエリック・ボンパール杯で、SP、フリーともに歴代世界最高得点を塗り替える完ぺきな演技をしたチャンに完敗してからだった。

 試合後、羽生はその得点差を計算し、自分がノーミスでもチャンが完璧な演技をすれば5点差ほどで負けるとの結論に達した。

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