本田真凜が苦しんだ大会で気づいたこと。全日本への課題と新しい楽しみ (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 4本目の3回転トーループ+2回転トーループは成功したが、連続ジャンプ2本を含む後半3本のジャンプはすべてアンダーローテーションと判定された。それでも、3回のスピンはいずれもレベル4とした。

「自分が全日本に出られるか、出られないかと不安になっているのが許せない感情になっていました。いつもだったら最初のジャンプを失敗したら引きずってしまうけれど、もう今日で最後と思って滑った気がします」

 この思いが、本田を支えた。

 ただ、得点は93.70点と、使用する提出曲を間違えてエキシビション曲で滑るというミスがあった東京選手権を0.04点上回るだけだった。SPとの合計は144.11点。フリーは12位でSPの順位を10位まで下げる結果となった。全日本の出場権獲得できたことが唯一の収穫といえる戦いになった。

「今は本調子でなくジャンプの難易度を落としているけれど、明日からまたジャンプの構成を昨シーズンのものに戻して、いい演技ができるように練習したい。これまでは何も考えずにのびのび滑れるアイスショーのほうが、自分のスケートの好きなところが出せると考えていましたが、今日滑っていて自分を追い詰め、プレッシャーをかけて緊張感を持って、というのも楽しいなと感じました。最初にジャンプをふたつ失敗した時のスリルもいい感じがした。失敗したいわけではないけれど、これからも頑張りたいと思います」

 そういって本田は笑顔を見せた。

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