樋口新葉、トリプルアクセル失敗も焦りはなし。ジャンプ以外も進化中 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 フリップがSPと同じくノット・クリア・エッジの判定でわずかな減点、ステップシークエンスはレベル2となる取りこぼしはあったが、132.53点を獲得。合計を203.24点にし、2位に30点近い差を付ける圧勝だった。

「目標の200点を超えられたのはよかったけれど、フリーはトリプルアクセルの他のジャンプでミスが続いたので、次のNHK杯は(トリプルアクセルで)失敗しても、それ以外のジャンプが崩れないようにしたいと思います。トリプルアクセルに関しては、6分間練習でも公式練習でも成功したので練習の成果が出たところですが、試合で降りるのは難しいなと感じました」

 練習での単発のジャンプと違い、曲が掛かった本番の滑りでは「スピード感やジャンプに向かうまでのコースも違ってくる」と、樋口は言う。成功している時の状況をしっかり分析し、試合の中でもその状況に近づけていくことが必要だ。「試合で1回降りられれば自信もついてくる」と樋口は話すが、それは次に持ち越された。

 ただ演技自体を見れば、SPでは滑りや体使いの大きさ、流れのスムーズさが出ていた。フリーもつなぎの部分やステップなどで、指先の形をいろいろ工夫して変化させているのが確認できた。樋口自身も「表現面でいろいろなことを試みたり、考えたりする余裕ができた」と話していた。

 フリップでノット・クリア・エッジと判定される課題は残ったが、トリプルアクセルの成功も含め、これまで以上に細かなところまで気を配った完成度の高いプログラムを作り上げられる。樋口はこの大会で、その可能性を見せてくれた。

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