三原舞依がいるべき場所に戻ってきた。「この瞬間を待っていた」 (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 坂本清●撮影 photo by Sakamoto Kiyoshi

 三原は、世界のトップを舞台に戦ってきた選手である。自らのスケートに求める要求は高い。その向上心が彼女を羽ばたかせてきた。現状では、体力は2年前の状態にはまだ戻っていないし、ジャンプも回転数を落として滑っていた。ルッツは降りられるようになったが、3回転の連続ジャンプは試合では今のところ封印。プログラムの構成を決めたのも実は直前で、ジャンプの順番やコースを間違えないか、心配だったという。

 この日、飛び抜けたスコアで優勝した"盟友"坂本花織の演技を、彼女はじっと見つめていた。

「かおちゃん(坂本花織)とは練習の時からですが、今日見ても、迫力が違って。また、一緒のグループで滑れるように戻りたいですね。(近畿選手権では)かおちゃんには笑顔で、『良かったね』って言ってもらえて。まだライバルと言えるような状況ではないですけど、同じ舞台に立てるように頑張りたいです!」

 三原は復活しただけでは満足していなかった。彼女のスケート愛は、むしろ氷の上に立ったことで、むしろ巨大になっていた。

「一つ一つ、大切に確実に滑れるように。(11月の)西日本選手権までに戻し切るようにやっていきたい」

 彼女は彼女のスタンスでスケートに向かう。今後はグランプリシリーズのNHK杯、全日本選手権出場も見込まれる。生命力をほとばしらせる妖精が舞う。

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