2020.08.31

羽生結弦、五輪連覇の壮絶な舞台裏。ソチと平昌の違いはどこにあったか

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by JMPA/Noto Sunao

 ところが次の4回転トーループは着氷が乱れて1回転ループ+3回転サルコウを跳べず、連続ジャンプにできなかった。そのため、トリプルアクセルに付ける予定だった2回転トーループを1回転ループ+3回転サルコウに変更してカバーしたが、そのジャンプには少し力みが感じられた。

 続く3回転ループは確実に跳んだが、「足の痛みがもっとも影響する」と話していた3回転ルッツは着氷で乱れ、GOEも減点された。やはりスタミナ切れが露見したか......とも思われたが、結局、後半の4回転トーループと3回転ルッツ以外に大きなミスなく終えたところは「さすが」としか言いようがない。演技終了後、羽生は右手の人指し指を立て、「1」という数字を表した。

「演技が終わった瞬間に勝てたと思いました。前回のソチ五輪の時は、フリーが終わった後は『勝てるかな?』という不安しかなかったのですが、今回は『自分に勝てた』と思いました」

 羽生のフリーの得点は、4種類6本の4回転に挑み、SPの悔しさを晴らす215.08点を獲得したネイサン・チェンに次ぐ206.17点。総合得点を317.85点に伸ばし、後に控えていたハビエル・フェルナンデス(スペイン)や宇野昌磨に10点以上の差をつけ、66年ぶりとなる五輪連覇という記録を達成した。

平昌五輪の金メダルを手にする羽生平昌五輪の金メダルを手にする羽生  フリーのジャンプについては、4回転サルコウと4回転トーループを2本ずつ。後半にトリプルアクセル1本と、4回転を2種類入れてもっとも基礎点が高くなる構成にした。その構成を決断したのは、試合当日の朝だったという。