鍵山優真に度肝を抜かれた無良崇人。独特な4回転トーループに注目 (3ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • 能登直●写真 photo by Noto Sunao(a presto)

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 優真選手の『タッカー』は昔の映画で、ミュージカルっぽいところもあって、ジャズの曲調に合わせて踊る大人のイメージがあります。でも、まだ優真選手が若いことや、彼自身のキャラクターもあってか、あどけなさがある表情をしたり、ちょっと背伸びしている感じがあって、それを意図して振り付けているのかなと思いました。

 もう少し年齢が上の人だったら、もっとクールさみたいなものを打ち出した振り付けになりそうですけど、このプログラムでは優真選手の若さとキャラクターを生かした振り付けになっていると感じています。

 SPのピアノ協奏曲『宿命』がどちらかというと重めなので、その対比もよかったと思います。SPとフリーのキャラをガラッと変えるというのは、意外と大事だったりします。フリーは明るくて、ちょっとコミカルな動きだったり、彼のスケーティングの軽やかさだったりがすごく生きている感じがしました。

 ある意味、大人と子供の狭間にいる年齢(17歳)じゃないですか。大人びた雰囲気が今後どんどん出てきて、熟成されて、いろいろな経験をしながらそれぞれの個性が出てくるわけです。そんな過渡期の時期だからこその、大人に入り始める段階というところの表現力をうまく使えているんじゃないかと。優真選手の父親である鍵山先生が、同じ『タッカー』というプログラムを滑っていたこともあって、なおさら優真選手自身にとって思い入れのあるナンバーなんだろうと感じます。

 僕の十八番プログラムは、競技用では2017-2018シーズンのフリー『オペラ座の怪人』(振付/チャーリー・ホワイト)です。この曲を使うのは、2014-2015シーズン以来、2度目でした。自分の表現という部分や、自分らしさをありのままに出して、すごくそれがはまり、自分を成長させてくれた曲でした。

 同じシーズンのエキシビションナンバー『美女と野獣』も同じく男性ボーカル系統でしたが、雄大さのある曲や男性ボーカルの力強さのある曲がすごく自然にスッと入ってくる。力強い演技が昔から自分の特徴でもありましたし、自分の武器でもあったと思います。

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