鍵山優真に度肝を抜かれた無良崇人。独特な4回転トーループに注目 (2ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • 能登直●写真 photo by Noto Sunao(a presto)

 彼のジャンプにはセンスがあります。他の3回転にしてもそうなのですが、うまく体を使う動きの中で跳んでいるから、軽さがあって、力いっぱい跳んでいる感じがしません。まだちょっと左側に外れることもあって失敗もしますけど、次の4回転の種類を習得していく中で、あの感覚がうまく使えるようになると、一気に変わってくるんだろうなと思って見ています。

 スピード感が落ちないところも彼のよさです。プログラム終盤になっても全然スピードが落ちないです。あとはとにかくスピンがうまいですよね。メチャクチャ回転が速い。トータル的に、どの要素を取ってもレベルが高いです。

 ジュニアでは、ジャンプは跳ぶけどスピン、ステップはへただったりとか、表現力がちょっと微妙だったりとかという子が多いんです。あの若さにして、全部の要素が平均点よりも上にあって、その上で安定した演技ができているわけです。

 鍵山選手は来季にむけて、4回転の種類を増やし、おそらく4回転サルコウに挑戦してくるはずです。4回転2種類を入れたプログラムでレベルアップを図ってくると思います。定評のあるエッジワークなど、基本的なスケーティングはもともとレベルが高いので、それをしっかりと維持しながら4回転の種類が増えていけば、シニアに上がっても絶対ジャッジの評価は上がってくると思います。

 今季、シニアの試合に出場したときにどうなるかなと、楽しみです。まだちょっと調子の波があって、ジャンプでボロボロ失敗することもあるかもしれませんけど、まだ若いですし、問題なく戦えるはずです。

『タッカー』を振り付けた佐藤操先生の振付師としての魅力は、ちょっとコミカルな動きを取り入れるのがうまく、その選手のよさを引き出せる方だと思っています。最初に操先生の振り付けで「さすがだな」と思ったのは、操先生がずっと振り付けを担当していた佐々木彰生くんのプログラムです。いろんなキャラクターになれるプログラムを作っていました。

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